VG20 センチュリー


発売期間 1967(昭和42)年11月―1973(昭和48)年3月

※資料が少ないので曖昧な部分もあります。いろいろ調べながら随時更新していきます。情報提供や、間違いの指摘などしていただけると助かります。

昭和42年9月4日、S40系クラウン・シリーズがフルモデルチェンジを行った際にクラウンエイトのモデルチェンジは見送られ、 全く新しい車種「センチュリー」として9月25日に発表、11月に発売されました







前後にエンジンやサスペンションを組み付けるサブフレームを備えるモノコックボディ

前後のガラスは接着剤でボディに直接接着していて、ハメ込み式が当たり前だった当時としては独特だったようです










ウインカーは3連のシーケンシャルタイプで、両サイドに反射板
シーケンシャルウインカーの動画はVG20画像・動画



チルト5段階、テレスコ無段階調節が可能な調節式ステアリングはAタイプのみ標準装備で、C・Dタイプに注文装備



自動車用としては世界最初の不凍液式のエアコンディショナ(Dタイプに標準装備、A・B・Cタイプに注文装備、のちに全グレード標準装備)





エアピュリも自動車用として初めて採用(Dタイプに標準装備、A・B・Cタイプに注文装備)
スイッチは前席背もたれのうしろ



「ハザード・ウォーニング・アンド・パーキング・ランプ・スイッチ」
駐車灯は左のみ・右のみ・左右の3種類の点灯が可能
ハザードについては発売当時、日本の法規では使用が認められていなかったので、法改正で認められるまでは配線を断って使用できないようにしてあったようです。 (※昭和44年4月の法改正で非常点滅等の装着が義務化)当時アメリカ向け輸出車両にはすでに取り付けられていた装置ですが、国内向け車両に標準装備されたのは VG20が初めてだそうです



助手席足元の発煙筒は「センチュリーには2本装備されています(カタログより)」


グレードはA〜Dの4車種で、FグリルとCピラーエンブレムの色も違ってきます
Aタイプは「ご自分で運転を楽しむ方のセンチュリー」でエンブレムはアクアマリン(碧色)
本皮バケットシートにヘッドレスト・シートベルト付、フロア4MT、リミテッドスリップデフ標準装備で新車価格238万円は当時の2000GTと同価格(!)
他車種の電圧計と燃料計がある場所にタコメーターが付き、電圧計と燃料計はコンソールボックス内に付きます


Bタイプは「重厚で気品に満ちたセンチュリー」でエンブレムはクリムソン(濃紅色)
ファブリップ張りのシート、コラム3MT、全窓手動、コンライト無しなど、いわゆる廉価版


Cタイプは「豪華でフォーマルなセンチュリー」でエンブレムはAタイプと同じアクアマリン(碧色)
高級布地張(トッパー・ファブリック)シート、コラム3AT、要はAタイプのATバージョンのような位置付けです


Dタイプは「もっとも誇り高い車」でエンブレムはバイオレット(紫色)
Cタイプにさらに各種のパワー装備を持ち、エアコン、エアピュリも標準装備の最上位グレード


1969(昭和44)年、一部改良

フェンダーウインカー追加
エンジン出力アップ(170PS)
内装一部変更 など














1971(昭和46)年10月

Aタイプ廃止


1972(昭和47)年

レギュラーガソリン仕様(3V-R仕様)追加、受注生産、価格はハイオク仕様と同価格


車両仕様 ※1967年12月カタログより
車両形式 VG20-A VG20-B VG20-C VG20-D
価格(東京)(万円) 238.0 208.0 228.0 268.0
〃 ※後期型
239.5 259.5 280.0
長さ(mm) 4,980
幅(mm) 1,890
高さ(mm) 1,450
車両重量(kg) 1,700 1,665 1,700 1,800
乗車定員(人) 5 6 6 6
車両総重量(kg) 1,975 1,995 2,030 2,130
ホイールベース(mm) 2,860
トレッド 重心高さ(mm) 550
最低地上高(mm) 175
最大安定傾斜角度(度) 50
最高速度(km/h) 170 160
舗装平坦路最大荷重時燃料消費率(km/l) 10.0 8.5 8.3
制動距離(初速50km/h)(m) 14
登坂能力(sinθ) 0.416 0.338 0.439 0.418
最小回転半径(m) 5.7
客室内測寸法 長さ(mm) 1,970
幅(mm) 1,520
高さ(mm) 1,110
空車時荷重分布 前輪(kg) 890 870 890 970
後輪(kg) 810 795 810 830
乗車時荷重分布 前輪(kg) 990 1,005 1,025 1,105
後輪(kg) 985 990 1,005 1,025
乗車時前輪荷重割合(%) 50.1 50.4 50.5 51.9
オーバーハング
バンパ除く
ボデー前端へ(mm) 755
ボデー後端へ(mm) 1,255
タイヤサイズ 7.35-14-6PR
タイヤ空気圧 前輪(kg/cm2) 2.1
後輪(kg/cm2) 2.1
乗車時タイヤ荷重割合 前輪(%) 94.3 95.7 97.6 105.2
後輪(%) 93.8 94.3 95.7 97.6



エンジン仕様
形式 3V 3V(改良後)[3V-R仕様(レギュラーガソリン)]
内径 × 行程(mm) 78×78
総排気量(L) 2.981
圧縮比 9.8 〃 [8.5]
圧縮圧力(kg/cm2) 12.5
最高爆発圧力(kg/cm2−rpm) 52−3,600
最高平均有効圧力(kg/cm2‐rpm) 10.08−3,600
最高出力(PS/rpm) 150/5,200 170/5,600 [160/5,600]
最大トルク(m-kg/pm) 24/3,600 25/3,600
全負荷時最小燃費率(g/PS-h‐rpm) 220−3,600
機関寸法 長さ(m) 0.782
幅(m) 0.700
高さ(m) 0.737
整備重量(kg) 225(A,B)、215(C)、235(D) 225
ピストンリング数 圧力 2
1



動力伝達装置 ※1967年12月カタログより
車両形式 VG20-A VG20-B VG20-C VG20-D
クラッチ 形式 乾式単板
クラッチ版枚数 1
ライニング(内径×外形×厚さ)(mm) 224×160×3.5
表張面積(cm2) 193×2
流体継手 形式 3要素1段2相式
制作会社 アイシン精機
変速機(括弧内は後期) 形式 4段オールシンクロメッシュ 3段オールシンクロメッシュ 前進3段全自動
操作方式 フロアシフト リモートコントロール
変速比 1速 3.673 3.059(3.257) 2.400
変速比 2速 2.114 1.645(1.642) 1.479
変速比 3速 1.403 1.000 1.000
変速比 4速 1.000
変速比 後退 4.183 4.079(3.553) 1.920
減速機 歯車形式 ハイポイドギヤ
減速比 3.545 〃(3.900) 3.900





センチュリーの塗装の概説(一部抜粋)

塗色には日本の誇る名所に原色を求めて、日本名を付けており、 標準色は下表のようになっています。

整備書とカタログで表記が異なる部分があります。括弧内はカタログの表記です。

車両形式 塗色名
VG20-A 神威 イターナル ブラック
平安 グレーシャス マルーン
富士 ノーブル ホワイト
VG20-B 神威 イターナル ブラック(神居エターナル・ブラック)
雲仙 ミスティ グレー
VG20-C、D 神威 イターナル ブラック(神居エターナル・ブラック)
平安 グレーシャス マルーン(平安グレーシァス・マルーン)
鳳来 ルーシット グリーン(M)(蓬莱(莱はくさかんむりに來)ルーシッド・グリーン)
雲仙 ミスティ グレー(M)
摩周 カーム ブルー(M)


前期カタログより、ボディカラーの説明
塗色名 説明
カムイ・エターナルブラック 人間の立ち入ることをかたくなに拒む神威岬の、黒そのものの黒。その神秘へのあこがれから発想した、永遠の深いブラック。
フジ・ノーブルホワイト いつも白い雪を頂く霊峰富士。仰ぎ見る人びとの心を清らかに洗う純白の雪。その清冽な美しさを思わせる、高貴なホワイト。
ヘイアン・グレーシァスマルーン 平安の古い都を彩る落着いた色調。時代と歴史が磨き上げた柱や羽目の輝き。渋さと、洗練された感覚がつくり出す、優雅なマルーン。
ホーライ・ルーシッドグリーン 夜ともなれば仏法僧の声がきかれるという、鳳来山。冴えわたった深い緑の山。そのけがれない美しさを再現した、清らかなグリーン。
マシュー・カームブルー 数々の伝説を秘めて、静かに青をたたえる摩周湖。その水の透徹さ、青さ。凛とした気品をもちながら、静まり返ったブルー。
ウンゼン・ミスティグレー 霧が渦巻く雲仙の山々は神話の世界。日本の創世紀、神々の伝承を生んだその山のイメージをモチーフにした、霧のようなグレー。


1973(昭和48)年4月、昭和48年排ガス規制適合、4Vエンジン(V型8気筒3,376cc)を搭載してVG21へ。



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