2020(令和2)年6月、警備会社から石川県小松市の日本自動車博物館に佐藤栄作元首相が自費で発注したセンチュリーの防弾仕様が寄贈されました。
写真で見た時から気になることがたくさんあったので、実写を見て確認してきました。
ベース車は昭和47年式VG20のD仕様です。
防弾ガラスやボデー部分以外でベース車と異なる部分を見ていきたいと思います。
まず外観上で一番目に付くところはフロントバンパーとフェンダーミラーだと思います。
■フロントバンパー
この車のバンパーは中央部に開口部のある、VG21以降のバンパーが付いています。
本来VG20ならバンパーグリルのない形状です。理由はわかりませんが、これは警備会社時代に付け替えられているようです。
参考、これがVG20純正バンパーです。
■フェンダーミラー
VG20は電動ミラーではなく板ミラー、それもスプリングの入っていないタイプですが、これは電動ミラーが付いています。
クラウンと同型ですが年代的には昭和49年中ごろに出てきたものなので、それ以降にアップデートしたものと思われます。
ミラーを付け替えたことを証明できる、元の穴を埋めた鉄板を確認することができました。
参考までに、VG20はこのミラーです。
車内で気になるのは、シート、オーディオ、エアコンあたりが目立ちます。
■シート
元々ベンチかセミセパの設定だったところに大きめのセンターコンソールをぶち込んでるんで、運転席と助手席のシート幅は自然と狭くなります。
シートの調整ノブやサイドの材質も安っぽい樹脂製に、元色グレーを黒く塗装した感じに見えます。
ちなみにこのリクライニングのノブとその周辺、同年代のクラウンが全く御ねじ形状だったので、シートごとクラウンから持ってきて、表皮を張り替えているのかもしれません。リアシートは形状は元車のままですが、デザインはフロントシートに合わせてあります。
この年式のセンチュリーで黒革内装はAタイプにしか設定がありませんが、デザインが違うのでこの車専用設計と思います。
■オーディオ、エアコン操作パネル、メーター
エアコンもオーディオも、VG21中期~のものが付いてます。ポールアンテナのスイッチは別の設けてあるのでしょうが、取材時は気付きませんでした。
写真眺めてて後から気付きましたが、メーターもVG21用に変更されています。ミラーやバンパーのことも考えると、警備会社時代にVG21中期か後期の車両とニコイチにしているんじゃないかと考えられます。
■PWスイッチ
防弾ガラス故、三角窓はすべてハメ殺しになっていて、稼働するガラスは4枚のみです。なのでパワーウインドウスイッチも専用設計のようです。UWG60オープンカーのスイッチのメクラはとてもチープでした、こういうのはしっかりしていて気持ちいいですね。
比較用、参考までに、左が本来の運転席ドアのPWスイッチ。右はUWG60オープンのPWスイッチのメクラ状況です。
■後席ドアアシストグリップ
VG35で初めて着いた装備ですが、防弾ガラスと肉厚鋼板で重くなったドアを閉めやすいようにか、アシストグリップが追加されています。PWスイッチは当然、1個しかありません。
比較用、こちらが純正の後席ドア内張りです。
この他にもよ~く見るとまだ不思議なところがあるかもしれません。
木になる方は、細かい違いを観察しに日本自動車博物館に行ってみてください!